大西寿男さんの『校正のレッスン(改訂3版)—活字との対話のために』
著者の大西寿男さんは本書(改訂3版)の「あとがき」で、東日本大震災後、出版、広告、情報、デザイン、メディアに関わるあらゆる現場で、言葉の伝わり方、伝え方が大きく変わってきた、と述べておられます。私たちも、日常生活においても仕事においてもその通りだと思います。
今年9月に改訂3版となった本書は、大西さんが震災後に各地で開催した校正セミナーやワークショップ、トークイベントでの経験を盛り込み大幅なリニューアルが図られ、第1編「校正10のレッスン」もその多くを新たに書き下ろされたということです。
本書によって、校正の仕事が、言葉の世界、情報の世界で仕事をする中でぶち当たる、さまざまな壁に立ち向かう〈武器と盾〉(本書111頁)となること、そして「活字から痛みを感じ取ろうとする」(本書66頁)本当に大切な営みであることを再認識しました。
私たちがこれからの時代を生き抜くために必要な、言葉との向き合い方を示された道しるべともいえる本だと思います。
実務書としても、とても大切なポイントが、第3編の「講義ノート」にわかりやすくまとめられています。ここは日々の仕事の中でも常に確認しておくべき、忘れてはならないけれど見落としがちな事柄ですので、是非座右に。
第1編「校正10のレッスン」では、原稿がゲラとなって活字として校正者と対面する場面での具体的な例題により、単に赤字を入れるだけではない校正の実務を実習することができます。
第2編「対話のために」は、大西さんのこれまでの経験から、これからの時代に校正者の果たすべき役割は何かが深く考察されています。それは本書全体を通して伝わってくる声でもあります。
校正者、編集者はもちろん、執筆者、デザイナー、プランナー、言葉や情報に関わることを仕事とするすべての人たちに、本書をおすすめします。
大西寿男 著
『校正のレッスン(改訂3版)—活字との対話のために』
出版メディアパル(2017年7月)
本体価格1,600円
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